第7章 近づく距離
二人でカウチに座ったりごろごろしたりしてるだけなのにすごく幸せで会話がないときでも気まずさが全然ない。
カウチでごろごろしたまま青峰君を見ると、目が合って優しく笑ってくれた。
「どうした?」
「何でもないよ。青峰君外出れなくて退屈じゃない?」
あたしが外出禁止のせいで青峰君まで付き合わせちゃって、お買い物したり外を走ったりしたくならないのか気になった。
「全然退屈じゃねーよ。黒須見てるとすげぇ楽しい」
「ちょっとそれどういう意?!」
今の全然褒められてないよね?!
あたしそんな変なことしてないのに!
ただカウチでごろごろしてるだけで面白いって
青峰君の面白いのツボが全然理解できなくて、だけどあたしも面白くて笑ってると、どこかから聞こえてくる一定のバイブレーション。
「……あれ?電話鳴ってない?」
「俺じゃねぇよ」
「あ、あたしか」
ポッケからスマホを取り出した青峰君が違うって言うならあたしだと思って、置きっぱなしにしてあるスマホを見るとBOSSからだった。
「ごめん。BOSSだ。出てもいい?」
「あぁ」
プライベートのスマホだからきっと仕事ではないと思うけど、一応断りを入れてから窓際に移動して通話に切り替えた。
『もしもし』
『ベイビー今どこ?』
『まだNYでペニンシュラにいます』
『そう。今日贈り物が届くはずだから受け取ってちょうだい』
『あたしにですか?』
『ほかに誰かいるの?』
『あ、いえ…』
『フフフ…邪魔したわね。じゃ、よろしく』
『ありがとうございます』
絶対あたしが青峰君といるってバレた。
もう…ホント敵わない。
超能力者なのかって思うほど勘が鋭いんだから。
なんとなく恥ずかしいまま電話を切ってカウチに座る青峰君を見ると、なんでか分からないけどさらに恥ずかしくなった。
「仕事か?」
「ううん。違うの。なんか贈り物があるから受け取ってって連絡くれたの」
「すげー気に入られてんじゃん」
「初めての弟子だからかな?」
BOSSの弟子は後にも先にも今のところはあたしだけ。
BOSSはアカデミーを持っていて、そこにいる人達のことは生徒って呼んでて弟子って言われてるのはあたしだけ。
「そうなのか?」
「実はそうなの。BOSSは弟子を取らないことで有名だから」