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最愛 【黒子のバスケ】

第25章 起憶


「もう嫌なことは何も我慢しなくていい。付き合ってた時のことを聞かされて嫌な思いしたら全部俺に言え。あの女が言ったことで嫌なことを思い出して辛くなったら全部俺に吐き出せ」


何度こうして“我慢しなくていい”って言ってもらったんだろう

体温を分け与えられて、落ち着いた声と優しい言葉で緊張や恥じらいが薄れて、安心と幸せに変わる


「ありがとう。でも今日はもう大丈夫だと思うから…」

昨日暴言を吐いてたときは、周りが全く見えなかったけど、青峰君が抱きしめてくれて景色が見えた時、カレンの顔もあたしは見た

あたしが庇われたことへの怒りはもちろん顕著に表れてたけど、その中に確かに恐怖が見えた


今まであたしが感情も出さず意見も言わないことでカレンはあたしを何も言わない人間だと思ってたんだと思う

あたしだっていうつもりなんてなかった
だけどとめどなく押し寄せる恐怖に、何か言わないとあの場にいられなかった


言わされたのは不可抗力ではあったけど、あたしが感情を出したことで、カレンがあたしを見る目が変わったことだけは確か。

それがいい方になのか悪い方になのかは分からないけど、昨日爆発したことと、それでも青峰君があたしを庇ってくれたことであたしの心は確実に軽くなっていい方向に向かってる


「俺が大事なのはお前だけだ。絶対ぇ我慢すんな」

「うん。大丈夫じゃない時は、ちゃんと言う。だから、その時は少しだけ…助けてください」


大丈夫大丈夫と言い張って昨日の事態を招いた。

大丈夫じゃないことなんて少し考えれば自分で判断できたのに、あたしは自分の意地とプライドを押し通そうとした結果現場を混乱させた


青峰君といると、頼ることが悪いことじゃないんだっていつも教えてくれる


頼ってばっかりでごめんねって気持ちよりも、助けてくれてありがとうって気持ちにさせてくれる


「あと3日だ。一緒に乗り切ろうぜ」

「うん」


カレンには悪いけど、あたしは絶対に引かない
この体温もこの腕の中もあたしは絶対に手放せない


何を言われても、何をされても、あたしの気持ちは絶対に変わらない
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