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最愛 【黒子のバスケ】

第23章 After the rain


ただいまって言ってもおかえりって言ってくれなくて、いつものキスとハグもないけど、荷物を持ってくれるのだけは変わらなかった。

撮影の時はカレンさんにすごく優しい顔を向けてたのに…あたしの顔を見てもくれない。

今更青峰君の気持ちがカレンさんに向くなんて思ってないけど、あたしがどうしてもこの仕事をしたいって言ったことで、青峰君の気持ちを無視してるような気がした

帰りの車でパットがアドバイスをくれた

『あなたが辛いときはきっとダイキも辛い。いくら経験豊富な男だって、不本意なキスは嫌なものよ。大事な人の前でそれをされたら尚更。恋愛の不発弾は厄介ごとの根源。大きなことも小さなことも全部その場で爆発させてさらけ出しちゃいなさい。さらけ出せないのは相手のことを考える振りをして自分が嫌われたくないから逃げてるだけ。逃げ回ったツケを払わされるときは、いつだって最悪なものよ』



ちゃんと青峰君の気持ちを聞かなきゃ。
あたしも嫌だったことは言うけど今は青峰君が優先。あたしばっかりメソメソしていられない


おかえりを言ってくれない青峰君の背中にぎゅっとして、この重たい空気を少しでも和らげたかった。


「ただいま。だいき」


こっち向いて
いつもみたいにお帰りって、キスして抱きしめて


気持ちが伝わるように背中に顔をくっつけて腕に力を入れると、あたしの手をそっと握ってくれた。



「……おかえり」


いつもより小さい声だったけど、おかえりって言ってくれて嬉しかった。

好きな人のところに帰ってきた。
今ここにいる人はあたしの恋人。あたしだけの青峰君



「いつものは?」

「………嫌じゃねぇの?」

「してくれないと嫌」


いくらキスを自分からしたくても、この身長差では青峰君がかがんでくれなきゃできない。

ハグはあたしからもできるけど、あたしたちは出迎える側がハグしてるからいつもみたいにしてほしかった。
カレンの存在であたしたちの習慣を変えるなんて絶対しない。



「ごめん…」





















ぽつりと呟くような低い声の後、体の向きを変えて強くぎゅってしてくれた。






「お帰り…みさき。愛してる」

「ただいま…だいき。あたしもだよ」


いつもより弱った声
吐き出される深いため息
それでも腕の力だけはいつもよりもずっと強かった
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