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最愛 【黒子のバスケ】

第18章 劣等感


さつきと美緒からもらった時計で運動前の心拍を測って、上げすぎないように心拍をいつでも確認できるように設定した。

「じゃあまずストレッチね。それからトレーニングに入るから」

先生に言われた通りにストレッチを始めて、先生とペアでやるストレッチも思ったよりもきちんとできた。

LAにいた時、体が硬くならないようにハンナに付き合ってもらったり大我と青峰君に教わりながら、太ももと肋骨に影響がないようにストレッチをしてたことが功を奏した。

「柔軟性はとてもいいから問題はなさそうね。じゃあトレーニングに入るけど辛くなったら教えてくれればペースを落とせるから」

そう言って小さいサイズのヨガボールを使ったトレーニングを始めてくれたけど、久しぶりの全身運動に心拍がみるみる上がっていってあっという間にアラームが鳴った。



「すみません…ちょっと休憩させてください」

運動を避けていた体が驚いたのか、心拍だけじゃなくて呼吸少し乱れてしまって、このままやっても正しいフォームが維持できなくて休憩を申し出た。

LAの先生についてやっていた時、呼吸が乱れるとフォームも乱れて効果が出ないどころか変なところに余計な筋肉が付くから、呼吸とフォームを常に意識してやるように言われてたし、実際に自分の体感でもそうだったから呼吸とフォームは大切だと思ってる。

「初回とは言えもっと頑張れないとなりたい自分にはなれないわ。体を作るってことは精神を鍛えるって事なの。医者がトレーニングの許可出してるなら手術したからってことは言い訳にならないの」

言ってることは理解できる。
だけど、トレーニングは心拍数を上げないってことを前提として許可されてた

さっきカウンセリングでそれを説明したし、それに対してきちんと理解を示してくれてるように感じてたけど勘違いだったのかもしれないし、きちんと伝わってなかったのかもしれない

「言い訳をするつもりはありません。でも心拍数上げすぎるのは…」

「それが言い訳なの。少しくらい心拍数が上がったって死にはしないの」


普通ならそうかもしれない

でも心停止をしたあたしにとって“死にはしない”って言葉はあまりに軽々しく聞こえた


「分かりました。…私の考えと先生の考えは合わないと思いますので入会は諦めます」

「甘えを捨てないと変われないって分かったらまたお待ちしてます」
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