第19章 林檎が落ちた
「親子では性行為も結婚もできない、と言っただろう。勿論出来ない。これは世の中の倫理だ。ユリアも分かるな?」
「うん」
諭す様に優しく、手の拘束が緩まり、そのまま腕を撫でながら降下する。スルスルと腰まで降りて、折り返して服の中に侵入してきた。
「俺達は紛れもない親子だ。俺はお前が彼女から誕生する瞬間に立ち会った。今でも忘れない」
「うん……」
腹を撫で、肋の骨の上を少し進み、乳房の手前で止まった。
「俺が感情的に泣いたのは、お前の母さんが死んだ時と、お前が生まれた日だ。おじいちゃんが死んだ時でさえ、泣かなかった。愛する人と自分の、愛しい存在が目の前にいる。こんなにも素敵な女性に成長した」
乳房に指が進み、丸みに沿って指が這う。小さく吐息が漏れた。
「父さんはな、お前がいつか成長し、独り立ちして、好い人を見つけ、誰かのものになり、そして子を生し、幸せな人生を歩むのだと考えていた。理想だった。お前が母さんの腹に居る時から今までずっとだ」
パジャマのボタンが外されていく。
「あ……ぁ……」
「だがな……何故だろうな。この数日が堪えたらしい」
全て外され、ゆっくりと前が開かれた。今まで自分の父親として生きていた男に。
「俺の可愛いユリアが、他の男に奪われるのを俺は……耐えられなかった。本当に後悔したよ。こんなことならばユリアの誕生日の日に、俺が……」
ゆっくりと身体が前傾していく。
「奪えばよかった」
エルヴィンの口に乳首が食われる。その瞬間、全身に痺れが走り、それだけで甘い声を上げた。
舌で弾かれ、慈しむように片方の乳房は揉まれ、乳首を指が可愛がる。見ていられない。予想以上の官能的で背徳的な状況に頭がすぐ様酸欠になってグラグラとした。
「母さんが、俺が育てた身体を大事にしなかったお仕置きもしないとな」
「おし、おき」
─────……。