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エルヴィン裏作品集

第19章 林檎が落ちた



バスルームに入ったユリアは、シャワーを出しながら壁に設置されている鏡に映る自分の姿を見た。

「いいな、お母さんは」

ユリアは日本人の母親似だ。
日に日に似てくる容姿は、エルヴィンさえ「若い頃の母さんに似てる」と言うくらいだ。

「私だって……エルヴィン、って……呼びたい」

事故に遭い、葬儀で初めてエルヴィンの涙を目にして、「この女性(ひと)には敵わないんだ」と悟った。

あの唇は、瞳は、手は、心は。全て母のもの。

ユリアはムズムズとする陰部に指を這わせれば、かなり敏感になったソコにゾクゾクした。こうしてエルヴィンを想い自慰をするのはもう何年目になるか。初めてエルヴィンで達した時の罪悪感に泣いたのは自分でもまだ可愛らしかったなと思う。
今では毎日、特にエルヴィンが仕事で自分が休みの日は、エルヴィンのベッドで自慰をするのがクセになっている。アレが一番エルヴィンを感じて気持ちいい。

最低だ。こんなこと、許されない。

しかしある日、ユリアにとって信じられないものを目にした。

深夜、トイレに起き、エルヴィンの部屋の前を通過した時。
エルヴィンの苦しげな声を聞いてこっそり部屋を覗くと、ベッドでスマートフォンを片手に自慰をするエルヴィンを見たのだ。酷く高揚した。エルヴィンの反り勃つペニス、扱かれる度に零れる吐息。覗かれていることにさえ気が付かないほどに快感を感じているエルヴィン。

ユリアはその姿を見ながら、自分のクリトリスを弄って自慰を始めた。頭の中で何度も名前を呼んだ。エルヴィン、エルヴィン、エルヴィン……聞こえもしない声で。エルヴィンの扱く手が速くなると同時にユリアも自慰の手を激しくした。苦しげな声を上げたエルヴィンと同時に、声も無くユリアも絶頂を迎え、息もまだ上手くできない状態でトイレに向かい、処理をして自室へ戻った。

エルヴィンも“男”だったのだと知って、信じられない気持ちになった。同時に、ほんの僅かな希望と、ある企みを思い付く。

実行は迫る自分の誕生日。

必ず実行する、そう決意して眠った。



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