第17章 来訪者
迅視点
それが視えたのは一瞬だった。
なんの変哲もない、いつもの風景。"みんな"が楽しそうに団欒している和やかな風景。
それだけならただ和やかなシーンを眺めるだけで、持っていたスマホを落としそうになることも無い。
でもそこには、いるはずのない人物も交ざっていたのだ。
迅(えぇ...嘘でしょ...)
いくら俺でも、こんな未来視てしまったら止めるわけにはいかない。
危険な未来は1つも無いし、呼んだと思われる本人も超エンジョイしている。
迅(仕方ない、掛け合ってきますか)
スマホを慣れた手つきで操作すると、画面にある人物の名前が表示され、規則的な電子音が聞こえてくる。
数秒後、低く渋めの不機嫌そうな声が「なんだ」と呟く。
迅「あ、もしもし城戸さん?俺だけど、今忙しい?」
城「...何か視えたのか」
迅「まーね。でも悪い未来じゃないから安心して。明希もみんなも笑ってる」
城「そうか。...なら今から時間を取ろう。私も少し休憩しようと思っていたところだ」
迅「ありがと城戸さん。10分ぐらいで着くから待ってて」
電話を切り、早速歩き出す。
迅「実力派エリートは、今日も大忙しだ」