第5章 朝の喧騒
空を見上げれば、太陽は高くなり始めていた。
「光秀、瑠璃遅くないか?」
森の方に行ったとしても、深く分け入るはず無いと、タカを括っていたが、分入って程なくてし迷ったのか、と心配になってきた。
「探しに行ってみるか?
俺はーー‼︎」
バサバサバサバサ‼︎‼︎
と森から多くのカラスが突然飛び立った。
動物が動いたくらいでカラス達が驚いたように飛び立つ筈がない。
森の中で中かあったのは間違いない。
2人は顔を見合わせ馬に飛び乗ると、カラスが飛び立った方向を目指し駆け出した。
「んー!んんー〜〜っ‼︎」
口を塞がれた瑠璃は必死に声を上げようと
試みる。
足をジタバタさせて抵抗するも、
ズルズルと引き摺られる様に連れて行かれる。
背後から口を塞がれ、後ろ向きで引き摺られて行く途中、木の根に引っかかり、片方の草履が脱げた。
そして、もう片方も脱げたまま、森の奥まで連れて来られた。
ドッ
ザッッ
「ここで、大人しくしとけ!」
掘っ建て小屋に乱暴に投げ込まれ、戸を閉められる。
「ッツ……」
乱暴に投げ出され驚きと痛みで声が出なかった。
立ち上がろうとして、痛みを覚えて見れば、
放り投げ込まれた時に、着物が捲れ、
ふくらはぎを擦りむいていた。