第29章 慈愛の時間(R18)
命令して従わせ、手折って…
縛り、囲って、声も涙も枯れる果てるまで鳴かせる…
凌辱し、蹂躙して、淫楽に堕として、
俺を求めるだけの女にしたい…。
まだ、表面に現れていないだけ、
見せていないだけの、俺の加虐心を煽る言葉が、
今までよりも鮮明に浮かんで来て、恐れ戸惑う。
男には誰にでもある欲望。
その欲望が強いかそうでないか、だけだと思う。
俺の内に眠っているその欲望はーー…。
「…お前を壊したくない…だから、今はまだ…いい…」
(今は、まだ…)
欲望を振り切る。
「ありがとな。気持ち良かった。
やらしくて、可愛かった」
髪を梳き、頭を撫でて、親指で唇を拭うように滑らせると、ちゅっっっと口付ける。
酸えた苦味がして
「無理に飲まなくてもいいぞ」
(不味いんだから)
渋い顔で瑠璃に言った。