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【FF7 ヴィンセント BL】Halloween Night

第1章 夜の始まり


裾を持ち上げようと前屈みになったリオの、大きく開いた襟から、薄い胸元が覗き、輝く銀髪が流れ落ちた。
透き通るように白いうなじが、露わになる。
「ーーー、」
ヴィンセントは僅かに口を開き、閉じた。
そしてまた開く。
「………大した料理では無いが、運ぶのを手伝ってくれ」

* * *

料理の種類は決して多くなかったが、味は素晴らしく、素材のバランスも申し分無く、家主の腕とセンスの良さが伺えた。

「ああ…幸せ……」
上質なスプリングの効いたベッドに躰を横たえ、リオは真新しいシーツを撫でながら、温かい食事を思い出していた。
本当は、もっとヴィンセントと話していたかったが、躰がざわついて、そうもいかなかった。
心苦しかったが、眠くなったと嘘を言って、食後のお茶も辞退して、充てがわれた客用の寝室に引き上げて来たのだ。

すぐ側にあるバルコニーのカーテンはぴっちりと閉めているが、見なくても分かっていた。
今夜は満月だ。

「ヴィンセントさん…はあ……」
はだけたバスローブの襟に鼻を押し付けて、スン……と鼻を鳴らす。鋭敏になった嗅覚が、洗剤の香りに紛れた、微かな匂いを捉えた。
火薬と、雄の匂い。
前者はヴィンセントに付いた匂いで、後者はヴィンセントその人の匂いだ。
夕食の時、バスローブ姿を恐縮するリオに合わせて、ヴィンセントはジャケットを脱ぎ、シャツの襟元を緩めた。
細身だが引き締まり、無駄なく筋肉のついたラインが、大人の男の色気を醸していた。
「あー…だめ、僕のばか……」
恐らく全くそんなつもりの無い家主の好意に、こんな浅ましい劣情を抱く自分が、嫌になる。
だが、時折向けられた、捕らわれるような眼差しが脳裏から離れない。躰の奥が、切ない。

厚いカーテンの向こうに耀いているだろう満月の光から逃げるように、少年は毛布を頭から被った。
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