第2章 日常
「ん…」
ゆっくりと目を開けると画面が真っ暗の愛用のパソコンに私の顔が見える。
あ、そっか。昨日呼び出されて作業してたのか。
彼の、マサイの家に。
作業中は常に音楽を聴いているためイヤホンからお気に入りの曲が今も流れている。
今何時なのか確認するためにイヤホンを耳から外し、床に置いてあるスマホを取ろうとすると、
「ん?」
自分の体に見覚えのない灰色のパーカーがかかっていた。
言わなくてもわかるかもだけど、昨日マサイが着ていたものだ。
わざわざかけてくれたのか。やっさしー。
パソコンを閉じスマホで時間を確認すると丁度6時を回ったところだった。
彼がいつも作業で使っているデスクをチラッと見るとエナジードリンクが2本並んであった。
夜遅くまで作業を頑張ったのが目に見える。
そう言えば昨日半分ぐらい飲ませてもらったな…。
エナジードリンクのすぐ近くに細くて長い指が見えた。
そこから目線を上へ移すとイスに座ったまま寝ているマサイがいた。
「起こすか」
パーカーを畳んで近づく。
「マサイさん朝ですよ〜」
そう声をかけると凛々しい眉がピクッと動いた。
そこまで深い眠りじゃないかも。
そう思って今度は頬をつつく。
けれど、ピクリとも動かない。
なら次は少し強めに頬をつねってみようと思い手を伸ばす。
パシッ
「うわ、っ」
手首を掴まれ引き寄せられる。
「おはよ、ユラ」
顔が、
距離が、
近いですマサイさん。
「お、おはよ」
まぁ、こんなの日常茶飯事なんだけどね。
でも、
最近少し胸が高鳴るのは何故____