第1章 ~ATOBE KEIGO~
「…?何でお前下着姿なんだ?」
薄暗い部室だから気付かれないかもしれない
私は平静を装い返事を返す
「着替えてる途中なの!!もー何で景吾がココにいるのよ!?部活休みでしょ!?」
「アーン?部活は休みでもやるコトはあるんだよ。てか何でお前は着替えてんだ」
「…雨で少し濡れちゃったの。もういい加減出て行ってよ!!てかこっち見ないで!!!!」
私は少し声を荒げると、背を向ける
ガチャンとドアの閉まる音が聞こえ、景吾の声が聞こえなくなる
(いなくなった…?)
ホッと胸を撫で下ろしたのもつかの間、視界に影が差す
「……?」
振り向いた瞬間、景吾の顔が目の前に広がり、私はロッカーを背に景吾との間に閉じ込められる
私を挟むようにロッカーに突かれた景吾の手のせいで身動きが出来ない
「で?何でお前はそんなに濡れてんだ」
「っ………」
その言葉に背中がスッと冷える
「言ったでしょ?雨に濡れて…」
「随分前から止んでるのにか?」
「………そうだよ」
「こんなに滴る程ずぶ濡れでか?」
景吾の指が私の髪を掬う
「だから着替えてたんじゃない」
「…埒が明かねぇな。一体誰にやられた」
景吾の真剣な瞳が私を射抜く
だけど言う訳にはいかない
絶対に…