• テキストサイズ

T・A・T・O・O ー彫り師ー【気象系BL】

第11章 募る恋情と、隠せぬ想い


余りの驚きに、瞬きをすることすら忘れてしまった目は、見開かれたままて潤を見つめていた。

瞬きだけじゃない、どうやら息をすることさえも忘れた智は、息苦しさから潤の胸を、小さく握った拳で小突いた。

「す、すまねぇ、おいらとしたことが、あんたにこんな乱暴な真似を…」

漸く唇を離し、身体を起こした潤は、赤くなった顔を隠すように手で覆い、押さえつけられたままの格好で横たわる智に背を向けた。

「い、いえ…、私はなんとも…」

翔によって慣らされた智にとっては、口付けの一つや二つで動じることはない。
普段の智ならば…

ところがどうしたことだろうか、胸が高鳴って仕方のない智は、自身の唇をそっと指でなぞった。


潤さん…だから?
だからこんなにも胸が痛くて苦しいの?


智はゆっくりと身体を起こし、乱れた襟元を正した。

その時、不意に潤の手が伸びて来て、智の細い手首を掴んだ。

「こんなに赤くなっちまって…」

言いながら、潤の唇が智の赤くなった手首に触れる。

擽ったさなのか、それとも別の感情なのか、思わず肩を竦めた智は、下腹部に微かな痛みを感じ…

「あっ…」

小さな声を上げ、そそくさと寝間着の裾を直し、まるで逃げるように土間へと駆け下りた。
/ 225ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp