第4章 15分
「え!?……ちょっ、ちょっと手……」
思わず、何度も手とヤナギを交互に見るが、一切やめない。ここ暗部本部の待機所だよ?
「花奏ちゃん、だからね、俺の家においでよ。実家とアパート2つ家があるから、一個余っているんだ」
朗らかに笑いながら、私を見つめる。
「え……?2つ……、あ、そっか……確かヤナギの……」
私は次の言葉を繋げれず、言葉を濁した。何故なら、ヤナギの両親は、幼少期に亡くなっているからだ。私たち、同期3人みんな親はもう居ない。
「だからさ、花奏ちゃんに使ってもらおうと思って、待ってたんだ。それに今日は休みだろ?使いなよ。そうだ、今から来ないか?鍵を渡すよ」
「え?……あ、ごめんね?実はこれから任務なんだ」
「はい?何言ってんだよ、花奏ちゃんは昨日徹夜じゃねェか。止めておきなよ。休みな。身体が疲れているだろう?な?」
「勝手なことを言うな、ヤナギ」
カカシが語気を強める。
「ダメだ。花奏は、今日の任務のメンバーに組み込まれてるからな。花奏だって、仲間を思えば任務に行きたいはずだからな」
「仲間……、いや、カカシ、隊長のお前だけでいけば良いだろ。花奏ちゃんは、何連勤してると思ってんだ。休ませろよ。昨日は徹夜なんだぞ?」
「オレも徹夜なんだけど?ま、さっき寝たから大丈夫でしょ?な、花奏?」
「そうだね、まあ、2時間は寝たかな?」カカシが目を合わせてきたから、同調すれば、ヤナギの握っていた手が少し強まった。ちょっと痛い……。困ったように私は笑いかけ、手をするりと離した。
「オレと花奏は、アパートに一緒に暮らす事になったんだよね。ヤナギ、お前は気にしなくて良い、余計な世話はしなくていいよ」
「カカシ、今何て言った?」
「ん?花奏は、オレと今日から同棲してるのよ」
「はぁ!!?」と叫び、カカシをひん剥いて睨むヤナギ。
「ちょっとカカシ!ど、同棲じゃなくて居候でしょう?」
「一緒に住むのは、変わらないだろ?」
「いや、そうだけどさ、い、今言わなくても……」
淡々と答えるカカシに、周りは一気に悲鳴に似た声が部屋中を駆け巡る。