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モデルのボーダー隊員(前のストーリーとは少々異なります)

第15章 金の雛鳥と弟


ヒュース(蓮琉)視点

久し振りに会った姉さんは、弟の俺から見ても凄く綺麗な女の人になっていた。目の色が昔と違うのもあるかも知れないが、一瞬誰かわからなかった。
姉さんは俺を見て凄く驚いた顔をした。トリオン体なのに今にも泣き出しそうで、嬉しそうな顔をした。
俺も姉さんに会えて嬉しいし、姉さんの優しい声で「お帰り」って言って欲しい。でも、今はまだその時じゃない。俺が姉さんと本気で戦って、負けないといけない。
向こうでお世話になったエリン様には感謝している。服従していたが、俺は、ずっと1人だった姉さんと一緒にいたい。だから、勝っても負けても俺はここに残る。そう決めた。

「雷刃起動」
「蝶の盾」

姉さんが薙刀型のトリガーを出すのと同時に、蝶の盾を展開する。ザァァァと音をたてて宙で蠢く欠片。
それを見た姉さんが、顔をしかめる。

「...嫌なトリガーだね。僕の嫌いなやつにしか見えないよ」

そう言えば姉さんは、爬虫類が苦手だった事を思い出す。悪いことした気がするが、ここは戦場。一々気にしていたらキリがない。

「悪いが、姉さんの爬虫類嫌いに構っていられないんだ」

それだけ言って欠片を操作して姉さんへ飛ばす。最小限の動きで避ける姉さんの動きは、鮮やかなものだった。だが姉さんは本気じゃない。本気なら、あの黒トリガーを使って確実に殺しに来る。

「本気でやってくれないのか」
「やってもいいけど、人が多いから、巻添えにしちゃうんだよ。本気出して欲しいなら離れた所に行く必要があるけど、そこのお爺さんが許してくれないんじゃない?」

確かにそうだ。俺とヴィザ翁が離れて、姉さんと結託されてしまえば任務が進まなくなる。この場合、ヴィザ翁が姉さんの相手をするのが最適だ。
チラリとヴィザ翁を見ると、いつもの穏やかな顔で姉さんを見ていた。

「いやはや、まだまだお若いのによくわかっていらっしゃる。それにしても、6年前から随分とお美しく成長されて...隊長どのが気に入るのもわかりますなぁ」

ヴィザ翁の言葉に姉さんが反応する。

「あの男だけじゃなくて、お爺さんもあの時僕の家族を狙ったの?狙いは僕だったんだろ?何故家族を狙った!あの青い髪の男を出せ!」
「おい明希、落ち着け」

姉さんが落ち着きをなくして人格が入り乱れる。
隣にいた髭が姉さんを落ち着かせるが、姉さんが取り乱す所は始めて見た。
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