モデルのボーダー隊員(前のストーリーとは少々異なります)
第14章 嫌な夢と侵攻
??視点
暗い船内で自身のモニターに映るある少女。この少女、あの時の子供によく似ている。
凛とした佇まい、長く揺ったりと靡く黒髪、玉のように白い肌...。唯一違うのは瞳の色だけ。昔見つけた子供は深い紫色の瞳で、見続けると我を忘れてしまうような、どこか幻想的な色だった。
だが目の前の少女の目は紅い。あの紫とは違った、不安定で儚く見える色と言えばいいのだろうか?
「隊長?この少女がどうしました?」
長く見過ぎていたのか、ミラから珍しく心配された。
「いやなに、この少女に見覚えがあったものでな」
「ほっほ、それは奇遇ですな。私も、この紅目のお嬢さんには見覚えがあります」
あぁ、確かヴィザ翁も当時同じ任務に就いていたな。やはり、私の見間違いではないようだ。
何故かヒュースはこの少女に釘付けになっている。普段あまり表情を変えないヒュースが、珍しく目を大きく開いてモニターの少女に見入っている。
自身のモニターに目を移せば少女がトリオンキューブを作り、ヒュース型のラービッドに全弾命中させ粉々にしていた。
「何だ...!?今のトリオン反応は...!黒トリガーか...!?」
「いえ、黒トリガーではありません。反応は通常トリガー...のはずです」
「とんでもないトリオン能力だな!最初のプレーン体もこの少女がやったんじゃないか?あれは確か黒トリガーの反応だったが」
「思いがけず「金の雛鳥」か...」
可能であればあの少女、我が国へ連れ帰ろう。見た感じ、戦士としても新しい神としても使える。おそらく今まで見た玄界の戦士の中で1番強い。トリオン操作も申し分ない。私の部下として引き入れるのもいいかもしれないな。
可能であればあの少女、我が国へ連れ帰ろう。
「作戦変更だ。ランバネイン、エネドラ。お前達は予定通りゲートで送り込む。玄界兵を蹴散らしてラービッドの仕事を援護しろ。だが無理をする必要はない。あくまで戦力の分散が目的だ。危険な場合はミラのトリガーで回収する」
「「危険」?俺が玄界の雑魚に負けるわけねぇだろ!」
相変わらず口の悪い奴だ。この会話がおそらく最後になるというのに。
「ヴィザ、ヒュース。お前達は「金の雛鳥」を追え。もしかすればここで新しい神、もしくは新たな仲間が拾えるかもしれない」
待っていろ、玄界の少女。必ず私のものにしてやる。
