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モデルのボーダー隊員(前のストーリーとは少々異なります)

第14章 嫌な夢と侵攻


画面に映った車はいつも乗っているお父さんの物で、ナンバーは見えずとも、車と一緒に潰されているぬいぐるみは弟が大事にしていた物だった。今朝出掛ける時に腕に持っていたのを覚えている。

「うそ...やだ...」

小さい僕がその場にへたり込む。小さい悠一が駆け寄って宥めるが、小さい僕は「嫌だ」「嘘だ」と譫言のように呟くのを止めない。
その間にもテレビからは、現場の状況を説明する声が聞こえてくる。

『この車に乗っていたと思われる人物は、三門市に住む藤咲さん家族と見られています。死体は見つかっていないため...』
「明希、おじさんたち死んでないよ。見つかってないだけだって」
「嘘だ...お父さん達が...あんな中で生きてるわけ...!」

半泣きの僕が悠一を見上げて言う。悠一は「ホントだよ」と優しい声でそう言って、僕を安心させようとしていた。

「きっと、僕のせいだ...僕が...僕が変だから...!人より多いから...!狙われてるのは僕なんだ!!」
「明希!!」

先程よりも激しく取り乱す小さい僕。実際、小さい僕が言ってる事は正しい。僕のトリオンが多いせいで、大事な家族が狙われたんだ。
直接的にではなく、間接的に。

「やだよ...1人にしないでよ...やだ...!やだああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

あぁ、小さい僕がこんなにも取り乱している。小さな身体を震わせながら、大きな声で泣いている。悠一はそんな僕にずっと付いて居てくれている。
今の僕は何も出来ない。ここでただ夢が覚めるのを待つしかない。
そう思った時、意識が浮上する。やっとこの夢から覚める...


目が覚めると、心配そうな顔をした悠一が目の前にいた。

「明希?大丈夫?嫌な夢見たのか?」
「悠一...うん、久し振りに昔の夢を見た...僕の大事な家族が消えた日の夢」

そう言えば悠一がハッと息を飲んで視線を逸らす。
悠一は自分の不甲斐なさを悔いているようだ。未来視のSEを持っていながら、僕の家族を救えなかった事を。

「悠一が悔いることじゃない。僕が弱いからあぁなったんだよ。今の僕は悠一だけが生きてる意味だから、いつでも笑顔でいて欲しい」
「明希...」

寝ている間に流れていた涙を拭い、悠一の頬をそっと撫でる。

「夢から覚まさせてくれてありがとう」
「うん。おはよう、明希」
「おはよう、悠一」
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