モデルのボーダー隊員(前のストーリーとは少々異なります)
第10章 可愛い後輩と秘密
さて、と悠一が話を切り出す
「全員揃ったところで本題だ。こっちの3人はわけあってA級を目指してる。これから厳しい実力派の世界に身を投じるわけだが、さっき宇佐美が言ったようにC級ランク戦開始までまだ少し時間がある。次の正式入隊日は1/8、約3週間後だ」
「そこで、この3週間を使って新人3人を鍛えようと思います。具体的には...レイジさん達3人にはそれぞれ、修君達3人の師匠になってマンツーマンで指導してもらいます。桐絵、これは林藤さんからの命令でもあるからね」
「ぐっ...」
桐絵が反論しようとしたのがわかったので先に釘を指す。
「林藤さんの命令じゃ仕方ないな」
「そうっすね、仕方ないっすね」
後ろの2人は桐絵を見ながら仕方ないなと繰り返す。桐絵は反論できずにそれを受け入れる。
「...わかったわ。やればいいんでしょ。でもその代わり、こいつはあたしがもらうから。見た感じ、あんたは1番強いんでしょ?あたし、弱いやつはキライなの」
「ほう、お目が高い」
迷うことなく遊真君を自分の方に寄せる桐絵。弱い人が嫌いなのは昔から変わってない。
その後のペアはすぐに決まった。千佳ちゃんは狙撃手の経験があるレイジさん、修君は自然と京介が師匠となった。
「よーし、それじゃあ3人とも!師匠の指導をよく聞いて、3週間しっかり腕を磨くように!」
栞に2人は指導しないのかと聞かれると、「暫くやることがあるから今回は抜けさせてもらうよ」と丁寧に返しておいた。
それから数日の間、修君達の訓練の日々が続いた。
ボーダー本部にて
陽介君との約束のため、2人で遠征艇を待っていた。
陽介君は何かの任務中だったらしいが、少しだけ抜けて来たらしい。大丈夫なの?
『ゲート発生ゲート発生、遠征艇が着艇します。付近の隊員は注意してください』
ボーダー本部基地の上空に出来たゲートから、大きな船が出て来て、専用の着艇台に着艇する。
遠征艇から続々と人が降りてくる。その中のうちの1人がこちらに気付いて近付いてくる。
「おーい!槍バカー!」
「お、来た来た。アイツがこの前言ってた奴。A級1位太刀川隊隊員の出水公平だ。通称弾バカ」
話が聞こえていたらしい出水君は、陽介君を一睨みして僕が誰なのか問う。
「僕は藤咲明希です。よろしくね、出水君」