モデルのボーダー隊員(前のストーリーとは少々異なります)
第2章 仕事
目が覚めるとそこは病院だった。
勢いよく起きた反動で頭が痛み、手を当てると頭に包帯が。
「生きてた...」
よく見ると腕には点滴がされていた。
後で瑠衣に謝って、潔く怒られよう。助けてくれた人が誰かわかんないけど、ちゃんとお礼が言いたいな。
暫くボーッと窓の外を眺めていると、病室の扉が開けられた。入って来たのは、僕を助けてくれたうちの1人。金髪ツーブロックの人だった。
「お、目ぇ覚めたか。具合はどうだ?」
「えっと、まだ痛みますけど大丈夫です」
「そうか!まだ検査入院らしいから安静にしとけよ」
快活な声と笑顔でそう告げる男性。見た目のわりに結構面倒見のいい人だ。
「わざわざありがとうございます。あの、先程も助けていただきありがとうございました」
「いいってこった!ボーダー隊員なんだから人助けんのが仕事だし!こっちこそ、俺んとこのオペレーター助けてくれてありがとな!」
...ん?「俺んとこのオペレーター助けてくれてありがとな」?
え、もしかして?いやいやまさかそんな事...
「あ、まだ名乗ってなかったな。俺は諏訪洸太郎。お前と一緒にいたオサノの隊長だ!」
マジか。いや、前から会ってみたいとは思ってたけど、このタイミングで会うとは思ってなかったよ!?うん!
「あ、えっと藤咲明希です。瑠衣から色々話は聞いてますよ。面白い人だって」
「マジで?俺、オサノに嫌われてんだと思われてたわ」
この人、案外自己評価低いんだ。全然嫌われてないのに。
そこへ話の中心である瑠衣と糸目の人と、さっきは見なかったそばかすの少年が入って来た。
「あ!明希起きてる!大丈夫?」
「大丈夫だよ。平気って言おうとしたそばから倒れちゃってごめんね?」
「そんな事はもういいの!目が覚めてホントよかったぁ」
涙目になって抱き着いてくる瑠衣。その背中を優しく撫でてやる。
「今お医者さんから薬受け取って来たから、後で飲んでね」
「あ、ありがとうございます。えっと...」
「あぁ、俺は堤大地。こっちは笹森日佐人。諏訪隊の隊員だよ」
「僕は藤咲明希です。お薬ありがとうございます」
諏訪隊の人は面倒見のいい人が多いなぁ。
暫く5人で話し込んでいるとあっという間に時間は過ぎていった。日が沈み掛けた頃に4人は「また来る」と言って帰っていった。
僕が退院したのは、それから5日後だった。
