モデルのボーダー隊員(前のストーリーとは少々異なります)
第8章 未知のトリオン兵と白い子供
そこからは早かった。本部に戻って忍田さんや根付さん達にそれぞれ仕事を頼み、行動に移す。
悠一が今回の任務の総指揮を取り、僕はそのサポート。
ボーダーの全勢力を使い駆除活動を行うと、夕方には全てのラッドを駆除できた。
数で押しきるのってやっぱ楽だ。
「よーし!みんなお疲れ!これで終わりだ!」
悠一の声でみんな力を抜く。雑魚とはいえ、途中でゲートを開いたラッドもいたため、気を張ってしまうのは仕方ないだろう。
次々に解散していく隊員達を見ながら、遊真君と修君と駄弁る。
「フム、あっという間でしたな」
「まさか半日で終わるとは思わなかった」
「こういうのは数使えばすぐ終わるもんだよ?それに、みんなの協力あってこそだし、遊真君が見つけてくれたお陰でもある」
「そうそう。本当だったら表彰もののお手柄だぞ?」
悠一が遊真君のモコモコ頭をワシャワシャと撫でる。気持ち良さそう。
「フム、じゃあその手柄、オサムに付けといてよ」
「えぇ!?何言ってるんだ空閑!ラッドを見付けたのはお前だろ?」
「でも、今のままだと俺の手柄が無かったことになってしまう」
「じゃあさ、遊真君の手柄を修君に付けて、B級に上げてもらうってのはどう?そしたら手柄が失われること無いし、B級に上がって本部の外でトリガーを使っても怒られなくなる!」
僕が提案すると「おぉ!それはメイアンですな」と遊真君は納得してくれた。
「それに、俺の経験からレベルアップ出来る時にレベルアップしとく方が後々楽になる。メガネ君は守りたい子がいるからボーダーに入ったんだろ?」
「それは...」
言い淀む修君。修君は、人の手柄を取ってしまう事に抵抗があって、尚且つ自力で上がらないと意味がないと思ってる。
「修君は、守りたい子が危険な目に会ってる時に動けないのが1番嫌なんじゃないかな?守れなかったら自分の力の無さや、後悔で潰れそうになるのが目に見えてる。だったらさ、先の事も考えて戦える術を今の内に身に付けようよ。その時が来てからの付け焼き刃じゃ遅いんだよ?」
「...わかりました」
修君は遊真君の手柄を受けて、めでたくB級に昇格。少し複雑そうな顔をしていたが、遊真君に「気にしすぎだ」と言われて少しだけ楽になっていた。
明日も2人には大変な1日になるけど、それは大事な日になるから頑張ってね。
