モデルのボーダー隊員(前のストーリーとは少々異なります)
第8章 未知のトリオン兵と白い子供
「ふぃ~。明希お疲れ~」
「お疲れ、陽介君」
あれから残り8戦も僕が勝った。
勝ったには勝ったんだけど、槍を使う人と戦ったこと無かったから少し戦い難かった。その事を本人に伝えると、何故か喜ばれた。
三雲君と悠一の所に戻ると、三雲君はポカーンとしていた。
「三雲君?どうしたの?」
「ハッ!す、すみません!その、あまりにも一方的な強さで驚いてしまって。米屋先輩が弱いって訳じゃ無いんですけど、なんか凄かったです!」
「そっかそっか!ありがとね~!」
中学生らしい素直な感想はとても貴重だ。言葉はこれから少しずつ覚えていけば問題なし!
「マジで明希強すぎ。天羽の言った通り結構早く殺られたし」
「慣れれば動けるようになるよ。またやろうね」
「おう!」
ふと視界に、悠一が優しく微笑んでいるのが見えた。何かいい未来でも見えたんだろうか?
「にしても、随分余裕だったな!しかも超強いし!師匠とかいんの?」
「いるけど、ボーダーの中にはいないよ。あの人凄い自由だったから」
「へぇ、どんな人なんだ?」
「何と言うか掴みどころがなくて、おおらかな人柄で、凄く暖かい人だった。嘘を見抜くSE持ってて嘘が嫌いな人だった。あと、城戸さんや悠一の師匠の最上さんと同い年だよ」
「べた褒めじゃん。そんだけいい人だったんだろうな」
陽介君が少し羨ましそうに言う。でもそれだけじゃない。
「でもね?さっきも言ったように凄い自由な人だったから、知らない間に近界に行って、訓練の約束ドタキャンされることだってしょっちゅうあったよ?その度に最上さんや城戸さんに稽古つけて貰ってたんだ」
「近界とかwww自由すぎかwww」
そりゃあもう自由でしたよ。「ちょっと旅行行ってくるわ」で行った先が近界って聞いた時の城戸さんの胃を想像してごらん?お察しだよ。
でも、そんな有吾さんが幼い頃の僕は大好きだったなぁ。
そろそろ帰ろうと言う話になり、悠一は支部に、僕ら3人は自宅へ帰ることにした。久しぶりに家に帰るから少しだけ掃除してから寝よう。
1番最初に三雲君を送り届けて次は僕の家。
陽介君に「また明日」と言うと、「おう!またな!」と朝と変わらず元気な声で返してくれる。
明日も平和な1日でいられますように。