モデルのボーダー隊員(前のストーリーとは少々異なります)
第7章 模擬戦と面白い子

「そう言えば今任務終わりなんだよね?報告終わってないなら急いだ方が良いんじゃない?」
「そうだな。ありがとう明希。報告には俺が行く。今日は解散だ」
「おう!お疲れ~」
「お疲れ」
「お疲れ様です」
「お疲れ様」
お疲れ様のゲシュタルト。エコーしてるみたい。
秀ちゃんを見送って再び会話が始まる。もうすぐ冬休みだなとか、クリスマス楽しみとか、そんな他愛もない話をしていると、陽介君が「そう言えばさ」と話題を切り出す。
「さっきの任務でさ、大型トリオン兵が粉々になった状態で見つかってよ。俺達以外誰も到着してなかったんだぜ?」
「それって...もしかして人型近界民?」
「秀次はそう思ってるみたいだぜ。まぁ俺もだけど」
大型トリオン兵を粉々にしたとなると、三輪隊の現着までの時間と逃げる時間を合わせても、1、2発位で仕留めた事になる。そうなると、その際の攻撃は派手なものになる可能性が高い。
この2つの可能性から考えると、攻撃重視に作られたトリガーもしくは、黒トリガーを持っている可能性がある。
「瞬間出力がデータとして残ってたら、相手のトリオン量やトリガーの種類が絞れるんじゃないかな?」
「確かにそうね。沢村さんのとこに行って確認してくるわ。貴重な意見ありがとう」
「いえ、役に立てたなら良かったです」
月見さんを見送ると、陽介君にお前すげぇなと言われた。
「明希は物知りだな!俺の方がここにいる時間長いのに」
「あ、言うの忘れてたんだけど、僕第一次大規模侵攻より前に一度ここやめてるから、ボーダー隊員全員僕の後輩に当たるんだよ」
「...マジ?」
「それ、本当?」
「じゃあ、迅さんや小南も?」
「東さんや木崎さんも?」
「みんな後輩だね」
「えぇぇぇ!!!」
何事も無いように淡々と答えると驚かれた。だって事実だもん。
「あーでも、明希先輩が強い理由がわかった気がする」
「確かに。そんだけ早くに入って教えてもらってれば強くなるわな」
何故か納得してくれた。まぁいいや。みんなが納得してくれたとき、通路の奥の方から悠一の声が聞こえた。
「悠一?」
「...明希?今誰の名前言った?」
「悠一。迅悠一」
「明希先輩何で迅さんを名前呼びしてるの?」
「幼馴染だから?」
「えぇぇぇ!!!」
また驚かれた。事実なんだもん。
次第に僕を呼ぶ声が大きくなる。声の主はやはり悠一だった。
