モデルのボーダー隊員(前のストーリーとは少々異なります)
第22章 記者会見と仕事
シュウ視点(幽体離脱中)
朝まで事務仕事(書類整理)していた明希は、デスクで朝を迎えた。
終わってすぐに眠りについたせいで「メイク落としてない・風呂入ってない・布団で寝てない」のモデルとして負の三拍子が揃ってしまった。
明希ー起きろー
「...」スヤァ
悪夢見せるぞ
「...」スヤァ
ダメだ、何やっても起きねぇ。どうしたもんかと考えていると、部屋のドアが開いた。
入って来たのは城戸さんだ。デスクで突っ伏している明希を見て、呆れたと言わんばかりに大きなため息を吐く。
「...まったく。こんな所で寝たら風邪を引くだろう」
軽々と明希を抱きかかえ、ベッドに入れる。40前半のおっさ...男性とは思えない。
「書類整理を任せたのは不味かったか...」
そう、書類整理は城戸さんからの指示だった。というか、明希が何か手伝いたいと名乗り出たのだ。
最近色々あったせいで少しお疲れ気味の城戸さんに、少し休んで欲しかったとかなんとか。
「シュウも手伝ってくれたんだろうな。2人ともありがとう」
そう言って寝ている明希の頭を撫でる。
え、突然どうした城戸さん。今のアンタに俺は見えてねぇだろ。幻覚か?それともマジで?
そんなことは全くない。事実、この部屋に来てから1度も目が合ってないのだから。
「...ん...きどさん...?」
「すまない、起こしてしまったか?」
あんだけ脳に直接話しかけて起きなかったのに、何で撫でただけで起きるんだ明希。俺が嫌いなのか?(拗ね)
「大丈夫。それよりも、なぜかシュウが拗ねてる」
「シュウが?何故だ」
「わかんない」
わかんなくていいし。良いから、起きたなら風呂行ってこい。この後も仕事あるんだろ。
「あ、そうだった。仕事あるんだ」
「ならそこに浴室がある。風呂に入ってから行きなさい」
「ありがと。ねぇ、城戸さん。良かったら一緒にご飯食べない?ラウンジになっちゃうけど」
「構わん。なら私は、ここで待たせてもらう」
「すぐに出てくるから!」
駆け足で風呂場へ入っていく明希。
その姿を見送る城戸さんの顔は、まるで幼い子を見るような優しい顔をしていた。
なんだ?父性でも湧いたか?