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モデルのボーダー隊員(前のストーリーとは少々異なります)

第19章 睡眠不足と姉弟


シュウ視点

桐絵と太刀川さんが俺の存在を肯定した後、他のやつらもそれに同意し始めた。あまり交流のないカゲさんと菊地原は何も言わなかった(言えなかった)が、口々に「シュウ」と「明希」は別人だと俺を肯定する。
それでも俺は、自分の存在を認められない。自分の中で踏ん切りがつかない。
1人、葛藤を続けていると不意に明希が話しかけてきた。

シュウ、聞いて。
(何...)
僕の意思を尊重してくれるのは嬉しいよ。でもね、人格だからって何でも僕の言う通りにする必要は無いんだよ?存在を否定する必要も無い。
(でも、俺は本来居ちゃいけない存在で、今すぐにでも消えなくちゃいけない筈だ)
そんなの誰が決めたの。僕はシュウに消えて欲しいなんて言ったことない。邪魔だと思った事もない。僕にとって、悠一や蓮琉達と同じくらいシュウが大切なんだよ。ねぇ...シュウ、あなたは、みんなに必要とされてるんだよ。
(!)
今まで言わなかったけど、僕はシュウの事を双子の妹だと思ってる。大事で可愛い僕の妹。
シュウの方が頼りになるからお姉ちゃんみたいに思った事もあったけど、やっぱりシュウは妹なんだよ。シュウは僕の妹で、蓮琉のお姉ちゃんなんだよ。
もっと、僕らに甘えていいし、存在を肯定していいんだよ...シュウ。

途端に目から温かいものが溢れ出た。さっきまで枯れていたのに、拭っても拭っても次々に流れてくる涙は、存外悪くなかった。

「シュウ...?」

悠一が不安げな顔で俺を見る。

「悠一、ありがと...みんなも...ありがと...俺を...受け入れてくれて、ありがと...」

ぎこちない笑みを浮かべ、裏返る言葉を紡ぎながらも、涙は絶えず流れる。これが涙腺崩壊と言うやつだろうか。初めてこんなに泣く。人前で、恥ずかしさなど忘れて、俺らしくねぇなと思うけど止められない。
そんな俺を悠一が優しく抱き締める。

「ねぇシュウ。これからも明希を支えながら、1人の人間として生きてくれる?」
「生きる...!明希と一緒に...みんなと...もっと居たいから...!」

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迅視点

暫く泣き続けたシュウは、泣き疲れて赤ちゃんのような安らかな寝息を立てて眠った。
その寝顔は本当に幸せそうで、もう心配要らないとSEを使わなくてもわかった。
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