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親友を取った男の部下に堕とされました

第1章 第七商社の鶴見


「…高橋」
俺がしばらく宿題をしていると不意に月島に名を呼ばれた。
「何ですか」
「江渡貝がお前はこの家に一人で住んでると言ってたが、本当か?」
「ええ、まあ。それが何ですか」
「ご両親はどうした。生活費はどうなってる」
「………子供とはいえ、初対面の人間にズケズケ個人情報聞くのは迷惑に入らないんですか?」
純粋な疑問だった。俺は別に構わないが、こういう質問は世間一般だとしない方がいいんじゃないかと思った。
「すまない、少し気になってな。気に障ったなら謝る」
「別に。俺はどうでもいいです。…両親は俺が幼い頃に二人揃って交通事故で他界しました。小学校低学年くらいまでは父方の祖父母がこの家に住みこんで世話してくれてたんですが、俺が家事全般出来るようになってから地元に戻って、滅多に来なくなりました。…もう2年会ってないですね。生活費は母方の祖父母から仕送りをもらってます。たまに父方からも」
カリカリとペンを走らせるのは止めないまま答えた。月島は自分から聞いたくせに「そうか」と言ったきり勝手に会話を終わらせた。…まあ、変に同情されてそれっぽい言葉を投げかけられるよりマシか。前山は「大変だったね」と言ってくれたが、嫌味でもなんでもないように聞こえたので全然いい。
「そうだ、月島…さん、前山さん。数学って得意ですか?少し手伝ってほしいんですけど」
「得意じゃないから力になれないかも…」
「一旦教科書を見せてくれ。思い出す」
「ちなみに今やってるのはこの辺です。実数のとこ」
月島に教科書を手渡す。最初は「全く覚えていないから多分やったことがないんだろう」とか言ってた月島だったが、すぐに理解したようで結果として大いに宿題を手伝ってくれた。
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