第16章 報告(後編) (☆)
刀剣男士との性行為による、霊力の増大。
そんな事は他の本丸でもよくある事だけれど。
彼女の場合は自身が幼児化するなど、身体的影響を及ぼす程だった。
ならば、今、もう一度刀剣男士と性行為を行えば、彼女の霊力はどれほど増大するのか。
次は一体どのような事が起こるのか。
所謂、実験だった。
そして、政府に所属する刀剣男士の中で何故かその実験に水心子が選ばれてしまった。
水心子は真面目だから。
上層部の命令に反発することは無い。
しかし、優しい水心子はとても思い詰めていた。
何か他に方法は無いかと必死に探していたけど、審神者の霊力を高める方法なんて他には無かった。
だから、きっと。
これが正解なんだ。
彼女には、本当に酷いことをして申し訳ないけれど。
後は挿れるだけ…その後、どのような変化が起きるか観察し、上層部に報告する。
これで、良いんだ。
これで水心子が思い詰める事は無くなるし。
水心子が彼女に恨まれる事もない。
「……挿れるね、出来るだけ、力、抜いてて?」
「…きよ、まろ…く……?」
彼女の涙を拭って、そっと目尻に口付けた。
そして自身のベルトに手を掛ける。
その時、扉が勢いよく開いた。
「終わった、帰るぞ……って、おい!!! お前何をやっている!!??」
「何を騒いで……、っ!?? き、清磨!!??」
「……水心子……、随分と早かったね」
抜刀し、僕に向かって踏み込む山姥切くんをギリギリで躱し、距離を取る。
中々の速さだ。
「おい、アンタ大丈夫か……、っ!!///」
山姥切くんは彼女を抱き起すが、彼女の今の格好に顔を真っ赤に染めて、顔を逸らしていた。
彼も、随分と初心だね。
そして自らの布を彼女に被せて、こちらに向き直し、刀を握りしめた。
「これはどういう事だ…」
彼は怒りに震えた声で、こちらを睨みながら。
「き…清磨……」
水心子はこの状況を察したようだ。顔を真っ青にして立ち尽くしている。
「……彼女があまりに魅力的で、つい、ね…」
「なん、だと…!??」
彼が踏み込みの体制になった時。
「何か事情があるのだろう?」
もぞもぞと、彼の布から顔を出した彼女は落ち着いた声色で話した。