第1章 1年目
「なるほど…分かりました。でも、…どうしても駄目でしょうか?これから戦闘を積んでいけば、いつか絶対高貴に目覚めてくれるかもしれないですし…」
私の言ったそれは半分願いだった。
いつも私に、今日はこんな訓練をしたんだよ、と教えてくれる彼。高いプライドを持ち、自分に甘くなるということを絶対にしない彼。-絶対高貴に目覚めることが出来ず、一番苦しんでいるのは彼自身であることを、私は知っている。そんな彼を部隊から外すことは、彼を見捨てるようなものだと私は思った。
そんなことは、絶対にしたくなかった。
「マスターさんの仰ることも分かります…ですが…」
先ほどのようにうつむいてしまった彼女に、私は食い下がった。