第3章 3年目
少し歩くと、目の前に他の貴銃士の気配を感じた。スプリングはそこで私の手を離し、空っぽになった私の手をすぐに誰かが握る。
「マスター、僕だよ、分かる?」
分かるよ。何度も何度もなおしてきた、大好きな貴方の手だもの。
「ごめんね、マスター。絶対高貴に目覚めるのに、こんなに時間がかかってしまった…。」
彼は申し訳なさそうに言う。私は強く彼の手を握りなおして首を振る。『そんなことないよ。』
「…マスターに、絶対高貴になった僕の姿、見て欲しかったな…」
ごめんね、貴方の願いなら、全て叶えてあげたいくらいなんだけど、
それは、もう出来ないんだ。