第14章 ◆番外編1「猥本」
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それから三日後、また長谷部さんと過ごせる夜がきた。
「さあ長谷部さん! 今日は何をしましょうか。色々準備したんですよ。えーと、目隠しと、縄と…あとムチにろうそく!」
「あ、あの…主…」
「縄は体を縛るために使うそうですが…長谷部さんを縛るわけにいきませんし、どうぞ私を縛って下さい! ムチとろうそくはどうやって使うんでしょう。でも男の人はこれが好きなんですって! 長谷部さんは? 好きですか?」
「ちょ、ちょっと待ってくださいっ、主っ」
長谷部さんは私が両手に持っているさまざまな道具を取り上げて、背に隠した。
困惑した表情をして私を見ている。
おかしいなぁ…。
何か間違っちゃったかな…?
「長谷部さん…お嫌いでした?」
私が細い声でそう聞くと、長谷部さんははーっと肩を落とす。
「…主…なぜいきなり、このようなものを…? 本当にご興味がおありですか? なにか無理をされているんじゃないかと心配です。それに、この知識はどこで…?」
「あの…鶴丸さんに、この本を参考にするように言われて…。長谷部さんが、喜んでくれるって…」
私は正直に、引き出しの中から例の猥本を取り出し、長谷部さんに手渡した。
自分で分からないから本を参考にしてたなんて知られるのは恥ずかしいけど…長谷部さんを心配させるのは目的とは違うし。