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彼岸花を抱いて

第10章 新米探偵に依頼あり




店主の言葉に凉晴は照れ臭そうにそっぽを向いた




「騒がしくてすみません。…どれも素敵ですね。お一人で?」

店主
「ええ、全て一人で仕立ててます。お洋服を作るのが楽しくてね」



楽しそうに話す店主の姿に凛は笑みを浮かべて見詰めた後に、再び並んでいる洋服へ視線を向ける




ー 30分後 ー





「あら、良いですね。とても格好良いです」



試着スペースのカーテンが開くと凛はすぐに笑みを浮かべて目の前の智晃の姿に感想を述べるが凉晴は興味無さげに他所を見ていた。


ジャケットは金の二つボタンのスリーピーススーツでベストはジャケットとスラックスに合わせ黒で統一された上品な生地、無地のボルドーシャツに金の薄い刺繍が入った深めのグレーネクタイ、ストレートチップの黒い革靴に身を包んだ智晃は凛からの言葉に恥ずかしそうに笑って見せた。



智晃
「こういう服は…着た事ねぇから慣れないな」


「ふふ、でもしっかり似合ってますよ」



凛の言葉に安堵の息を吐き出して着替えるためにカーテンを閉じ。
次は凉晴の番だ。




────…




智晃
「何か…ムカつくくらい着こなしてて不愉快」


「ふふ、そうですね。良く似合っています」




ジャケットは銀の二つボタンのスリーピーススーツでベストには主張の少ない銀刺繍が施されジャケットとスラックスに合わせ紺で統一された生地、無地の淡いイエローシャツに黒ネクタイ、モンクストラップの黒い革靴に身を包んだ凉晴は智晃の言葉には反応を見せなかったものの凛からの言葉には僅かに口角を上げた。



二人の姿を確認した凛は凉晴とかわりカーテンの向こうへと姿を消した。



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