第63章 月の王子と星の姫。
そして舞踏会の夜がきた。
クリストフが言ってたようにナターシャの家には
ドレスが贈られていた。
ナターシャ「なんて綺麗なドレス・・・。」
悦びという感情がこみ上げる一方で、
クリストフという存在に疑問が増えていく。
だがそれも、今夜わかるのだ。
さすがに舞踏会で、あの白い布という姿はないだろう。
そう、今夜初めて彼の本当の姿を見れるのだ。
そのためだけに、私はこのドレスを着よう。
クリストフ、待っていて。
ナターシャは素早くドレスを着替え、
村をでて、城へと向かう。
着いたころにはもう舞踏会が始まっていた。
城に入ったナターシャの口からは思わず声が出た。
いくつのも明るい光、素敵なドレスを着た若い女性たち、
たくさんのご馳走。
彼女にとっては桃源郷といえるこの風景。
思わず立ちすくんでしまっていた。
いや、その暇はない。この大勢の中にクリストフがいるんだ。探さなくては・・・
ナターシャが足を踏み出したとき、
誰かに手をとられた。
そして聞き覚えのある声が耳に入る。
「ナターシャ」
振り返るとそこにはー・・・。