第40章 優しくなんかない。
伊月「そう?それはそれで嬉しいな」
そう言って微笑みかけたのは一瞬で
すぐに真剣で、何処か寂しそうな顔に変った。
伊月「でもホント。俺は優しくもなんともない。」
「何故そこまで言うんですか?」
伊月「・・・俺の対応が優しいって感じてくれてるのは嬉しいけど、それは俺自身のためだよ」
「自分自身のため?」
伊月「そ。こうやって日向のためーとか言ってカメラ撮ってるけど、それも日向との関係を保ちたいから。」
「・・・。」
伊月「結局高校のまんまなんだよ、俺。大学に行ったら仲間とも離れるから、少しは自立しないととか思ってたりしてた。」
「伊月さん・・・。」
伊月「でも日向と久しぶりに会って思ったんだ。やっぱり俺、誠凛が好きだって。俺は一人じゃ無理だって。・・・でもこれは、俺の我儘だから。」
・・・そんなの全然我儘じゃない。
ましてや誠凛離れ出来てないとかでもない。
それはそれほど皆の事が大好きだった証拠。
・・・伊月さんは本当に優しいですね。
でも、自分には厳しい。そこがまた優しいです。