第34章 おかえり
壁に到着するとすでに運搬用のリフトが地面に待機していて、今回の作戦には参加しないで待機していた調査兵や、応援に駆けつけてくれた駐屯兵団の兵士達が一斉に駆け寄ってきた。
「怪我人を先に!!」
あれだけの戦闘をくぐり抜けたにも関わらず、奇跡的に私はかすり傷程度しか負っていなかったので、急いで馬を飛び降りると団長の介助に回った。
団長は気丈にふるまっていたが、松明の灯りの下でも分かるほどに顔色が悪く、かなり苦しい状態であることは誰の目から見ても明らかだった。腕を切断するという大怪我を負って、長時間馬に揺られたのだから当然だろう。
団長を乗せたリフトが登っていくのと入れ違いに次のリフトが降りてきたので、私は近くにいたエレンとミカサを呼んだ。
二人はまだ馬に乗った状態で、エレンの背中にもたれかかるようにしているミカサは、ぼんやりとした表情をしていた。ミカサも今回の戦闘で肋骨を折る大怪我をしており、表情には出さないだけできっと辛い状態に違いない。