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【進撃の巨人/リヴァイ】君が描くその先に

第34章  おかえり





 エルヴィン団長を先頭にして走る私達は、壁に向かう途中で何度か巨人とすれ違った。
 普段ならここで戦闘になるところだけど、どの巨人も私達には目もくれずに通り過ぎていってくれたおかげで、死傷者を出さずに済むことができた。巨人達は鎧の巨人達の方に向かっているのだろうと思うと、先ほどの光景がチラリと脳裏をかすめる。
 大量の巨人達に襲われている鎧の巨人と、人間の姿のままのベルトルト。それに、この撤退行動中に知ったことだが、巨人化したユミルもその群れの中に飛び込んでいったらしい。…二人を助けるためじゃないか、と考えられている。

 それに、聞いた話はそれだけじゃない。今回の戦闘で…ハンネスさんが命を落としたというのだ。巨人に襲われているエレンとミカサを助けるためにたった一人で向かっていったハンネスさんは、無念にも巨人に食いちぎられてしまった。ハンネスさんを食った巨人というのが、大勢の巨人に貪り食われた例の巨人だという。

 この話を教えてくれたのはアルミンで、私に報告をするその口調は僅かに震えているようだった。…ハンネスさんは、身寄りがなくなったエレン達の親代わりのような存在だったと聞いている。親も同然だった人が亡くなった…その悲しみはいかほどのものだろう。

 すぐ近くを走るエレンと、その背にしがみついているミカサにチラリと目を向ける。エレンは呆然としたまま僅かに空を見上げており、ミカサは両目をキツく閉じたまま涙を流していた。

 お酒が好きで、よくピクシス司令と飲みに行っていたハンネスさん。楽しげな笑い声が耳の奥にこだまして、私もまた、静かに涙を流したのだった。

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