第33章 道標
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それから少しして、エルヴィン団長が到着した。トロスト区から壁の上を馬で駆けて来たらしい。その発想には本当に驚かされる。だけど確かに、壁が破られていない保証がどこにもない現時点では、地上を来るよりも遥かに安全だ。
「状況は変わりないか?」
「はい!」
エルヴィン団長の姿を見た途端に、兵達は勇気を取り戻したようだった。こんなにも目に見えて指揮が上がるなんて…やっぱりエルヴィン団長のカリスマ性は凄い。かく言う私も、団長の顔を見たら一気に安心してしまった。
ラシャドさんとラウダさんが団長に報告を始める。私も呼ばれて、先ほどアルミン達と一緒に作成した報告書を手渡した。団長はサッと目を通すと、私の肩に軽く手を置いた。
「ラウラ、よくやってくれた」
その後、ハンジ分隊長の考えた作戦で、私達はウォール・マリア内にある小規模な巨大樹の森を目指すことになった。
確かに分隊長の言うとおり、あれだけの戦闘をした後だから、ライナーとベルトルトも疲れているはずだ。それに、二人は昨夜から寝ずに任務に当たっている。疲労は相当なものと見て良さそうだ。