第30章 ささやかな代償
歓迎会の次の日にいったんは古城に戻ってきたものの、私は巨人実験の後始末のために連日調査兵団本部へと通った。
実験はかなり大々的に行われていたせいで後片付けも大変で、少しでも人手が要るので臨時的にリヴァイ班所属になっている私も戻って手伝っているのだ。
しかし古城はかなりへんぴな所にあるので、本部との往復も楽ではない。いっそのことしばらくは本部で寝泊りをしようかとも思ったのだが、やはりエレンの事が気がかりなので毎日古城へ戻ることにしていた。
そんな日々が何日も続いた。
調査兵団本部には先日入団したばかりの104期の新兵達が待機しているため、実験の片付けで本部内を歩き回っている時に彼らの姿を目することが多かった。
その日私は、二人の新兵と廊下で偶然行きあった。黒髪の女性兵士と金髪の男性兵士だ。彼らはトロスト区奪還作戦の時にエレンの側にいたのでよく覚えている。