第29章 第104期調査兵団
朝になった。
窓から差し込む朝日で目を覚ました私は、少しの間ベッドの上でボーッと昨夜の出来事を思い出していた。
結局昨日の夜は、兵長と手を繋いだまま調理場まで行き、お皿の片付けを一緒にして、部屋まで送ってもらったのだった。
夜遅いとは言っても古城には私達しかいないのだし何も危ないことはないのだが、それでも兵長は部屋まで送ると言ってくれた。本当に部下思いの優しい人だ。
じっと自分の手を見下ろして、兵長と繋いだ手の温もりを思い出す。すごくドキドキしたけれど、それと同じくらい心が温かいもので満たされるのを感じた。
こういうのを「幸せ」というのだろうか。家族と一緒にいる時に感じるものとは全く違う。
私は兵長に恋をしている。兵長のことが恋愛的な意味で好きだ。思えば誰かの事をこんな風に想ったことなんて、生まれて初めてかもしれない。
どのくらいの間ぼんやりしていたのだろうか、いつの間にか目を覚ましていたペトラが声をかけてきた。私とペトラは同室なのだ。
古城は広いので部屋はたくさんあるけれど、昨日一日ではとても全室の掃除は終わらなかったので、当面は最低限の部屋数だけで過ごす事になった。
ちなみに部屋割りは、兵長は当然個室で、エルドさん、グンタさん、オルオは同室、エレンが地下室という割り振りになっている。