第25章 トロスト区襲撃想定訓練
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結局その後はオルオも合流して、訓練兵のジャン・キルシュタインとサシャ・ブラウスの夜食対決を見たのだった。
相変わらず夫婦漫才のようなやり取りをしているペトラとオルオの姿を横目で見ながら、ピクシス司令が召し上がっていたオムレツを、今度兵長にも作って差し上げようと私は思ったのだった。
結局兵長のことは聞けなかった。
前は、ペトラの兵長への想いを応援してあげようと思っていた。だけど、オルオの気持ちを知ってしまった今、あの頃のように単純にペトラの想いを応援できない。
私はペトラもオルオも兵長も、みんな大好きだ。全員に幸せになって欲しいと今でも思っている。
だけど現状その方法は思いつかない。だから私は沈黙を決め込むことに決めたのだった。
自分からペトラの気持ちを探るようなことはしない。オルオの気持ちが成就するように協力することもしない。
…そうは言っても、頼まれたらきっと手伝ってしまうのかもしれないけれど、とりあえず、何も言われない内はこのままでいよう。
兵長は今どうしているかな、もうお部屋に戻られたのかな、などと、料理対決が終わってゾロゾロと兵士たちが宿舎に戻っていく光景を眺めながら私は思ったのだった。