第23章 成果
次の壁外調査がやってきた。
「必ず生きて帰る」
毎回思うことだけれど、今回は特にザックレー総統からの依頼があるから、その思いは一際強かった。
絶対に死ぬ訳にはいかない。
それにもう一つ目標がある。それは討伐数を上げることだ。
ハンジ班に所属して以来、班の先輩方は本当に熱心に訓練をつけてくれるので、自分で言うのもアレだけどかなり成長したように思う。
先輩方の指導のおかげで、私は順調に討伐補佐数を伸ばしてきていた。だけど問題は、いまだに討伐数が一体も無い事だった。
私は率先して先頭に立つようなタイプではないから、この結果は当然のものだと思うが、でもやっぱり悔しい。
先輩方の指導に報いるためにも、何とかこの手で巨人に決定的な一撃を加えたいものだ。
…とは言うものの、討伐数うんぬんを言う前に、実はもっと大きな問題があった。
巨人との戦闘が始まると、ところどころの記憶が抜け落ちてしまうのだ。
気絶しているとかそういう事ではなく、覚えていないけれど多分そういう時でも私はちゃんと動けている。死んでいないのが何よりの証拠だ。
何となく想像はしているけれど、多分絵に熱中しすぎてそれ以外の事に気が回らなくなっているのだろう。
壁内に戻った後で皆から「あまりにも集中していたので、大変だった」と毎回言われるので、私の行動はよっぽどなんだと思う。
この悪い癖にはすごく反省しているし、皆にも迷惑をかけてしまっているから、本当に直したいと思っている。
…だけどなかなか直らない。
だから私は壁外調査の前になると、何度も何度も自分を戒めているのだ。