第22章 息抜き
ハンジ分隊長は私の絵をとても評価してくれていて、実に様々な依頼をくれる。
自分では思いつきもしないような絵を次々とオーダーされることに楽しさとやりがいを感じている私は、分隊長の期待に答えられるよう頑張る事に誇らしさを感じているのだった。
とは言え依頼される絵の量はかなりのものになるので、その依頼をこなすため私は昼夜を問わずにアトリエに篭って絵を描く生活を続けている。
掃除や洗濯など、新兵がやらなければいけない当番制の雑務をこなすことと、兵士として身体がなまらないように自主訓練をすること以外の全ての時間を絵画制作に充てている私を、時折訪れるナナバさんやモブリット副長は心配してくれるのだったが、私はこの生活に充実感を感じているのだった。
大好きな絵に没頭できることは、他の何をするよりも楽しい。
「ふぅっ、完成」
いつも無意識のうちに詰めてしまう息を大きく吐いて、描き上げた絵を見渡してその出来栄えに私は笑みを浮かべた。
ズラリと並ぶ絵の数々。
これでとりあえずは、ハンジ分隊長から依頼されている絵は全て描き上げたはずだ。
きっとこの絵を持って行ったらまた別の依頼をされるんだろうけど、それでいい。それがいいんだ。
私に絵を描く場を与えてくれた分隊長には本当に感謝している。
しばらくの間、絵を描き上げた余韻に浸っていた私だったが、あることに気がついて筆を放り投げそうになった。
「マズイ!!今何時?!」
今日はリヴァイ兵長のお供をして出かける予定になっているのだ。