第21章 依頼
「どうしたの?ラウラ」
続きを話さない私に、ペトラは不思議そうな顔をした。僅かに首を傾げると、オレンジ色の綺麗な髪がサラリと流れて滑らかな頬にかかった。
あぁ、こうやって見ると本当に可愛いなぁ。何とか上手くいってほしいな。よし!ペトラから言われるまで、私は陰ながら応援しよう。
そう思ったから、私はとっさに話題を変えた。
「…っ!あ、あのさ、ペトラもし時間あったら絵のモデルになってくれないかな?」
「えぇっ?!私が?!」
「そうそう。ただそこに座っていてくれるだけでいいから!ペトラの顔、前から描きたいなって思ってたの」
「え~私なんかでいいの?それに、ラウラ忙しいんじゃないの?」
「大丈夫!色んな絵を描くことは、いい勉強になるから!ね!お願い!」
分かったよ~でもちょっと恥ずかしいな、と言いながら、ペトラは了解してくれた。良かった。急に言ってみたけど不審には思われなかったみたいだ。
空いている椅子に腰掛けてもらい、私はペトラの姿をスケッチし始めた。
彼女の照れた表情を描いている途中、チクリと何か胸に痛みを感じたような気がした。この痛みは、前にも感じたことがあるようなしたけれど、私はそれが何なのか考えることもなく絵に没頭していったのだった。