第9章 つんでれアクアマリン【A×O】
【SATOSHI】
ついてきてしまった…
相葉雅紀の部屋に。
何やってんだ、俺…(◎-◎;)
もっかいツッコんどくけど
何やっちゃってんだよ、俺…っ…
普段は
こんなことしないのに。
こんな…ガードの甘いこと…
たぶん…
さっきアイツに会って。
専門学校に通ってた頃
若気の至りで騙されるようにして
体を許してしまったアイツ…
ヤられた時の写真を撮られてて脅されて
売りをやらされそうになったけど
たまたま最初の客が心ある大人で
しかもちょっとした社会的なチカラを
持ってる人だったから
その人のお陰で縁を切ることができた。
もう二度と会いたくないと…
顔も見たくないと思っていた
最低人間のクソ野郎に会って。
そんで
そのクソ野郎の前に堂々と立って
動揺する俺を男前に守ってくれた
相葉雅紀が…なんか…
…なんかカッコよく思えて。
ココロもアタマも
一瞬ぐちゃぐちゃになっちゃって
きっと軽く
オーバーヒート気味になってるんだ。
だから…ついてきてしまった…
大嫌いなはずの
キラキラ芸能人のプライベートな部屋に。
「智くん…?…どしたの?上がって~♪」
靴も脱がずに玄関に立ちつくす俺に
部屋の奥から声がかかる。
恵比寿の高級マンションの11階の角部屋…
玄関上がったとこの
この、ここのスペースだけで。
布団敷いて
ちゃぶ台とテレビ台を置いて
フツーに暮らせる自信あるわ、俺…
やっぱさ…?
住む世界が違うんだよな~…コイツらとは。
「ごめん、やっぱ…外がよかった?」
気づけば
めちゃめちゃ不安そうな顔した相葉雅紀が
目の前に立っていて。
その顔がなんだか…
可哀想なくらい真剣で…好感、もてて。
「そんなこと…ない」
頭の中のモヤモヤしたものを
思いきり振り払うようにして
「お邪魔します…」
だだっ広い玄関に上がった。