第9章 つんでれアクアマリン【A×O】
なんでこんなこと
簡単に言いやがるんだ…
俺がコイツのことチヤホヤしないから
手なずけようとしてんのか?
いや……
この間の二宮さんの件の謝罪の時も
さっきのシャンプー台の謝罪の時も
誠意あるものだったと…思う。
コイツはそういうヤツだ。
キメるべき時は
ちゃんとキメてくる。
思ったことをすぐ口にすると
自分でも言ってたから
誤解されやすいかもしれないけど…
この業界に多い
傍若無人でワガママな人種とは
ちょっと違うんだよな…
人を思うハートは
ちゃんと持ってる…ヤツ……
「…智くん?…ごめんね?俺ばっか喋っちゃって。
やっぱさ、ちゃんと翔ちゃんのいる時に仕切り直…」
「俺…喋るの苦手なんで…知ってるとは思いますけど」
「んぇ?」
「このまま相葉さんが喋り続けてくれるなら…
別にいいっすよ?…ここのメシ…美味いしww…
明日も仕事なんであんま遅くはなれないですけど」
「さっ、智くぅ~ん…(ますますかっけー)…」
え、なに…?
かっけー…?
嬉しそうに顔をクシャクシャにしながら
いま、小さく…かっけーって言った?
コイツ…やっぱ無意識か?
無意識に俺のこと
好きに…なりかけてんのか?
カラー中もやけに
俺の顔を見てた気がするし。
いやいやいや…
まさか、な…
華やかな世界のキラキラ芸能人が
根暗で無愛想なペーペー美容師を
…だなんて。(←自覚はあんのねw)
そもそも俺はっ…
この業界の人間が大嫌いなんだって。
最初からそういうオーラを
モロ出ししてただろーが!わかりやすく!
そうだよ…
俺が好きなのは…
憧れてんのは…
…翔さん…なんだ、から……
こんなお喋りで…
ハフハフしてるヤツじゃ…ないんだから……
……(。ー`ωー)
また…
胸がザワザワしやがる…
なんだってんだよ…ちくしょ…
まぁ…もう少し
ここでコイツと話してたら。
なんか見えてくるかもしんねー…
正面で嬉しそうにビールを呷る
相葉雅紀を見ながら
俺もジョッキを傾けて
残ってたビールを飲み干した。