第6章 初めては君がいい
「じゃあまずお前から吸うか?ほら」
燕くんが自分の襟をぐいっと引っ張って首もとを出す。きれいな鎖骨が少しだけみえる。
思わず唾を飲み込む。
「う、うん……。痛かったら言ってね」
「おう」
燕くんの首に唇を近づける。美味しそうな匂い。
「燕くん、ちょっと服着たままだと吸いにくいや」
「わかった」
燕くんがシャツを脱ぐ。細身のわりに、筋肉がしっかりしている。
「これでいいか?──ってか、そんなにジロジロ見るなよ」
「あ、ごめん。きれいな身体だなぁって思ってさ。じゃあ、いただきます」
燕くんの肩と頬に触れて、首に舌を這わせる。
「んっ……ふあっ」
「だ、大丈夫?」
慌てて口を離し、燕くんの顔を見る。赤くなって、少し息があがっていた。
「……大丈夫……お前に舐められたところ、なんか痺れた感覚がする……今なら痛くないかな」
「じゃあ今のうちに吸うね。」
再び首もとに唇をつけて、歯を立てる。
「んあっ、あっ…………う」
燕くんが少し高い声を出す。甘くて、濃厚な液体が口の中に広がる。飲み込むと、喉が熱くなった。全身に痺れが走る。
たまらなく美味しい。止めなれない。
「あっ……んんっ」
燕くんの体がビクンと跳ねる。
「ごめん、大丈夫!?」
口を離す。見ると、燕くんは頬を真っ赤に染めて、はぁはぁと少し辛そうに息をしていた。眉間にシワを寄せて、とろんとした表情をしている。
「だい……じょうぶ……んっ、はぁ……なんか、……すげぇ気持ちいい……」
その表情と上ずって色っぽい声にドキッとする。
「なぁ……俺、お前の血が早く吸いたい……喉がヒリヒリする……」
燕くんが身を乗り出して、上目遣いに僕の目を覗き込んでくる。その綺麗な顔を直視するのが恥ずかしくて、目をそらしてしまう。
「うん……いいよ」