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10月と君と秋風と

第2章 10月と君と秋風と another story


だから今回プレゼントを選ぶのを手伝ってほしいと言われた時、すぐに贈るのは杏奈ちゃんだろうなと察しがついた。 それでもこうして来てしまった理由は…自分でもはっきり分からない。でも、心のどこかで一緒に行ってくれるということはそこまで嫌われていないんだ、なんていう甘い考えを持っていた自分がいたことも否定は出来ない。私本当にバカだな、と思う。
今回中地君が私に声をかけた理由なんて本当は分かっていた。私が杏奈ちゃんと仲が良いからだ。当人が何が好きなのかを知るには、仲良しさんに聞くのが一番いいだろう。
多分私が中地君でも、同じことをしただろうから。
「着いたよ」
私と杏奈ちゃんがよく来る雑貨屋さんに来てはみたものの、やっぱり中地君はこういった場所にはあまり縁がないらしく、じっと入り口のウサギのぬいぐるみを見詰めている。
さて、何を選んだものかな、と考えていると、小さくてカラフルなボトルを見つけた。レモンイエロー、コバルトブルー、キャロットオレンジ…、どれもみんな鮮やかだけれど、杏奈ちゃんならやっぱりこのローズピンクかな?だって杏奈ちゃん、ピンク好きだし…。そこまで考えて、はっと気がついた。私に出来るのはプレゼントの提案をするところまでで、実際に何にするか決めるのは中地君だ。
私は立ち上がり、振り返る。
「さ、まずはいろいろ見てみよっか。何か良いのが見つかるかもしれないし」
そう言って私は中地君をお店の中に手招いた。
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