第9章 【番外編】マツノトクエスト 第八章
「暴力はやめてよぉ、なんなのこの危険な乙女! ていうか乙女って言うよりただの怪力で女子力も色気もない可哀想な女の子じゃんっ」
「ごるぁ、トド松コノヤロウ━━━━━━!!」
「おおおおお、落ち着けナス子! 仲間を攻撃してどうするっ、ステイ……ステイだ」
「そうだぞ、お前はもっと大人しくしてろよ! だから女扱いされねぇんだぞー」
助けてやったのにこの言い草。
まじで棺桶に突っ込んでやりたい。
が、ここはグっと我慢してハリセンを握りしめたまま3人にニッコリ微笑む。
「そうね、殺そうと思えばいつでも殺せるし……今はパーティも揃ってきたから攻撃はしないでおくね、ふふふ」
結局ハリセンを構えたまま笑顔の私を見ると、自分達はこれからもこいつに攻撃を受けるのであろうと悟った3人は私から気まずそうに視線を外してしまう。
「アンタ達っ、ほんと気を付けてよ?! 童貞は世界を救ってから卒業する、いいね?」
「……ちぇー、せーっかくいい思いが出来ると思ったのにぃ」
「黙れ勇者! アンタがリーダーなんだから、もっとしっかりして欲しいんですけど!!」
ほんとダメだコイツ、いや、コイツら。
目が離せないのは現実世界と変わらない。
「ところで、ナス子はトド松に何をされたんだ?」
「え、襲われただけだけど」
「………自分だって人の事言えねぇじゃねぇか」
「不可抗力なんですけどぉ?!」
「そうそう、ぼくだって出来る事ならこんなタイプでもなく残念な女の子に手を出そうなんて命令じゃなきゃ思わないからっ!!」
言われても仕方ないけど不可抗力なのは本当だ。
それにしてもこの3人どうやったら記憶が戻ってくれるんだろう。
このまま冒険を続けるのも少し寂しいな、いつもと同じ辛口攻撃されても、なんだかいつも以上にムっとするし、安心はできるけどいつものような安心感ではない。