第8章 【番外編】マツノトクエスト 第七章
「えっと……に、似合わない、かな? 実はこういう服装憧れててさ」
「あ! そうなんですねっ、すっごい似合うと思いますよ! 私が着たらもう残念残念言われるだけだし、あはははは」
そういう私に対して、優しい笑みを返す女性。
こっちがドキっとしてしまいそうなくらい可愛い。
「そんな事ないよ?女の子はいつになったって、どんな時だって可愛いんだからさ……えっと、お名前は?」
でもなんでだろう……一瞬、一瞬だけ知り合いの顔が重なった。
いやいや、だがしかしそれは男で、この人は女性。似ているけど違う。
「ナス子です! お姉さんは何て名前なんですか?」
「私はトティ美! 実はまだこの店に来て浅いんだぁ~、そうだ。折角知り合えたんだし敬語はいらないよ? 普通に話してよ、お友達みたいに♪」
フフっと笑って返してくれるトティ美。
名前に違和感を覚えるけどさすがにこの世界に来てアイツが女になっているハズはないだろうと考える。
世界には似ている人が3人くらいはいるらしいからね、これゲーム世界だけど。
「へへ、ありがとう。トティ美! なんだか一緒にいて安心出来るね、トティ美は」
同じようにクスっと返して、二人でなんでか笑ってしまう。
やっとこの世界に来て女の子の友達が出来た!!
今日アイツらについて来て良かったあぁ。
「ねぇ! 勇者様やナス子の話、いっぱい聞かせてよ!! こんな機会、滅多にないしさぁ」
「うん、いいよ! 恥ずかしながら冒険はまだ全然してないけどねぇ」
そのまま私とトティ美は意気投合し、気づけばトティ美の上手い誘導でお酒まで飲み始めてしまった。
お酒は飲みすぎるとすぐ気持ち悪くなるけどペースを守れば大丈夫、段々話がエスカレートしながら気づけば何杯かのお酒を飲んでいたが、話が楽しくてまだまだ悪酔いや吐き気には襲われそうにない。