第7章 【番外編】マツノトクエスト 第六章
フっと上から微笑まれてしまうとまた痒い気持ちが蘇る。
日頃、六つ子や男性には茶化され馬鹿扱い、残念扱いされる私。
そんな私を丁寧に扱う相手がいる事に失礼にも鳥肌が立ちそうだ。
「失礼、話はそこまでだ。 マスター、もうそこの兄が説明したが俺は一松だ。 お前の為に尽力を尽くす」
「は、はは……よ、宜しく?」
なんだろう、名前がやっぱりまだ出会えてないけどアイツらと一緒だ。
キャラも見た目も全く違うけども。
本物に会う前に同じ名前のイケメンに出会っちゃったよ。
しかしこのイケメン一松、なんだかこっちの残念カラ松と少し被る。
「フフン、お前たちがナス子に召喚されし光の国の住人達か! 俺は松野カラ松っ、この国を救う勇者一行の一人」
「あ、そろそろ時間ですね」
「そのようだ」
「「ではマスター、また」」
「ん~~~?」
カラ松の顔を見るまではしたのだが、時間がなく会話が出来なかった。
せっかく中二病VS中二病の会話が見れるかと思ったのに残念だ。
「んだよアイツら! キザたらしいっつーか、女受け狙ってるっつーか!! 気に入らねぇ! ぶっちゃけイケメンがムカツク、滅びればいいっ」
「あんた何でそんな木陰で隠れてる訳? 勇者なんだからもっと堂々としてりゃいいのに」
振り向くとおそ松はイケメンに委縮し、ずっと木陰に隠れてこちらの様子を伺っていたらしい。
まだカラ松の方が勇気あるなこりゃ。
「別に隠れてねぇし! ああいう連中がムカつくだけだしっ、香水つけてそうだしタトゥー入れてそうだし乳首に宝石とかしてるかもだし」
「ついてる訳ねぇだろ! そもそも、その印象なんなのっ」
「しかし中々あの一松という男、ワードセンスがいいな。 もう少し話してみたかった気もするぜ」
あぁ、やっぱり中二病に反応してたのね。
さすがカラ松、私の期待を裏切らない男………。