第7章 【番外編】マツノトクエスト 第六章
「ま、でも何もなくて良かった良かったぁ。俺らが出かけてる間にお前の身に何かあったらさすがに俺らも心配だし!!」
「へっ、え……?」
急にいい事を言われてすかさずハリセンを構えた手がどうしていいかわからず頭上で止まってしまう。
私を置いて出かけたのはアンタ達ですけどね、とも思うが心配はしてくれるのかと思うと、幼馴染のおそ松が顔を出してくれたようで嬉しい。
「ナス子、今後は俺達もお前一人を置いて出かけたりはしないようにしよう。なんなら一緒にカラ松ガール達のいる店に」
「行く訳ない」
せっかくコイツらちょっと見直しかけてたのにすぐにこれだよ。
ま、でもそれが二人と言うか……六つ子の残念でいい所でもあるよね。
この方が私は気が楽だ。
「明日はレベル上げに決まったし、そしたらお金も溜まるし! そろそろ寝よう?」
「お前今まで寝てたんじゃないのかよ?」
呆れました。って顔でおそ松が見て来るけど、まだまだ寝足りない。
明日の事が楽しみでちょっとワクワクしてるからすぐに眠りにつけるかはわからないけど。
「俺達も随分飲んでしまったし大人しく寝るとするか……んー」
カラ松はソファにどさりと寝転がり目を瞑る。
「そう言えばアンタ達………」
「「ん?」」
「寝る前に聞きたいんだけど、ど~してお姉ちゃんの店に遊びに行ったり、お酒が飲めるお金があったのかなぁ? ん~??」
明日は明日で二人に指導してもらいレベル上げをするのだから、今日の恨みは今日返す。
ニコリとほほ笑み片手でパシパシとハリセンをちらつかせた。
「………あ、あ~!! 俺すっげ眠い、今急激に眠気きたっ! おやすみぃいいい!!」
バサリと掛布団を被ってしまいすぐに潜る勇者おそ松。
残ったカラ松はタラリと汗を流すが顔を隠すよう壁の方を向いてしまい攻撃チャンスを失う私。
「ぐ……もー!! 覚えてろよお前らあああ」
私の叫びも空しく、酒の力で本当に眠りについてしまった二人。
出るのは溜息と怒りだが、始まってしまったゲームはクリアするまで終わらない。
仕方なく私も再度布団に潜り、さっき私の頭を撫でてくれた人物の事を考えながらも眠りにつくのだった。