第1章 【番外編】マツノトクエスト 序章
「は? ナス子? お前なんでこんな時間にいるんだよ」
母に押し付けられた六人の男性は丁度着替えを終えたらしく、床には水色のパジャマが落ちていた。
急な幼馴染の訪問と、朝だと言うその時間に六人の男性が驚きの表情で入り口に視線を向ける。
ミケ子は松野家四男一松の元へと小走りに近寄り、すぐに抱っこしてもらっていた。
赤いパーカーを頭から被りその名を口に出すのは松野家の長男。
松野おそ松。
自称国民的カリスマ、レジェンド人間国宝になる男。
脳内が小学6年生辺りからストップしてるんじゃないかと思わせられるくらいお馬鹿でギャンブルとお金、お酒と女の子大好き。
いつもナス子に絡んでは馬鹿にしてきて最終的には口喧嘩になるのがオチになる相手だ。
スキンシップが激しく女扱いをあまりしてない癖にすぐに触って来る。
「フ~ン、そんなの決まってるじゃないかぁ。俺達、いや……俺の顔が見たくて珍しく早起きしてしまったんだろう? 寂しい思いをさせてしまったなシスター、いや、ナス子」
指をパチンと慣らして黒いサングラスを外しコチラにおかしな言葉を浴びせるのは、青いパーカーを着ている松野家に生まれし次男。
松野カラ松。
六つ子の中では一番ナス子に対して優しく義理堅い。
しかし一度火が灯ると、年上の幼馴染が相手でも容赦はしない。
クソな部分もない訳でもないので、たまに無自覚でナス子の逆鱗に触れる事もしばしば。
単純で純粋、その上涙もろい。理性が吹っ飛ぶと暴走して手がつけられない。